韓国の社会問題1(少子化問題)
当サイトのコメントの中には社会問題に対するコメントが多く寄せられております。幾つかのキーワードの中でここでは、幾つかピックアップして各種文献をあたって紹介いたします。
当サイトの読者の方は、ぜひご覧いただき、韓国人の反応の背景を理解したうえでお楽しみください。
【少子化問題】
韓国は日本同様に少子高齢化が社会問題となっております。そこで、2つの文献を紹介し、各種引用しながら現在の韓国の人たちの問題意識を把握していきたいと思慮します。
韓国における超少子化現象と教育問題 金 鉉 哲・裵 智 恵 「アジア諸国における少子化―教育との関係に注目して」立教大学紀要露文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoffamilysociology/32/2/32_173/_pdf/-char/ja
抄訳の引用
現在,韓国の出生率は,世界で最も低い数値を記録している.韓国政府はさまざまな出産奨励政 策を進めてきたが,韓国政府の努力が必ずしも有効であるとは言い難く,今後の展望も明るくはな い.韓国における人口政策がその有効性を失ったのは,IMF経済危機の以後からである.韓国社会に おいて少子化をもたらす最も大きな要因は経済的な問題である.特に過度な私教育費の問題は,夫 婦の出産意欲を低下させ,出産忌避をもたらしていると指摘されている.過度な私教育費支出の背 景には,加熱し続ける教育熱,高校の序列化など学歴競争を深化させる教育政策,そして労働市場 における著しい賃金の格差など,複数の要因が関連している.現実を打開できる改善策を考えるの は容易ではないが,教育の側面から言うならば,とりあえず,学校の序列化に歯止めをかけること によって私教育費支出への負担を軽減する政策が必要であるだろう.
こちらは、少子化問題の政策が有効であったかを時系列の政策とファクトデータをもとに分析を行っております。こちらに関しては、当サイトのコメント、人口問題の政策失敗を批判するようなコメントが多く寄せられていますので、歴史的ファクトと政策を把握することで、コメント内容の背景を知ることが出ると思われます。
日韓の少子化対策の経緯と特徴 金 昌震 札幌大学女子短期大学部 紀要
file:///C:/Users/first/Downloads/SULB00001211.pdf
分析の目的
韓国では、合計特殊出生率1は1998年に初めて1.5を下回り1.45となり、その勢いはとどまることなく、2001年には1.3未満まで低下した。その後、合計特殊出生率はさらに低下し、2005年には1.08という過去最低水準を記録した。2005年以降には、やや不規則な増加がみられ、2012年に1.30になり、その後の回復傾向を期待する声も上がっていたが、2013年に再び低下し、合計特殊出生率は1.19になった。韓国の合計特殊出生率は、2001年から現在にかけての16年間、1.3に満たない状況が続いており、いわば超少子化国家の状況が続いている。また、日本でも少子高齢化が急速に進んでいる。第2次世界大戦が終戦した直後の1947年から1949年までの第1次ベビーブーム期には合計特殊出産率は4.32であった。それが第2次ベビーブーム期の1971年から1974年には、平均2.1台の水準まで急落し、それ以来、毎年減少し続け、2005年には歴代最低水準である1.26まで下落した。2015年現在の出産率は1.45であり、今後10年間は1.3から1.4台の水準を維持する見通しである(平成29年『少子化社会対策白書』内閣府)。本論文では、第1節・第2節において、日本と韓国における少子化対策[論文]65の主な施策などを紹介し、この政策施行による成果と限界を明らかにする。これをふまえ第3節において少子化対策の特徴を検討し、改善に向けた政策的な提案を試みる。
この論文は、日韓の少子化対策を比較しながら特徴を比較検討しております。特に、今後確実に迎える少子化において、効率的な政策実行を占ううえでも論文の試案には注目してもいいかと思います。当サイトでは、日本の少子化問題にもコメントを寄せるケースを目にすることも多いと思われますので、その背景を知っておくことは、コメントの真の意味が理解できるかと思慮します。
次は、その他の役立つ文献ではないかと思われる先行論文となります。2つめは日本人の学術視点となります。
その他
file:///C:/Users/first/Downloads/CJK_R3_Cho%20(1).pdf 韓国における人口の現状と政策の流れ 曺成虎 韓国保健社会研究院
file:///C:/Users/first/Downloads/KS2019017006.pdf 日本、韓国、シンガポールに共通する 少子高齢化への多面的解決可能性の探索 古川 和稔1) 大川井 宏明1) Donald Glen Patterson1) 野田 由佳里1) 落合 克能1) 1)聖隷クリストファー大学社会福祉学部介護福祉学科