韓国の食文化について(考察)

このサイトでも多くの話題を取り上げております食文化の違いと日本食への反応。

食は文化を代表するものですので、多くの様々な意見が投稿されています。そこで、韓国の食文化を多少なりとも知識として体系立てて整理していきたいと思います。

 

特に、「食自体が人間と出会う接点」趙美淑女史(立命館大学)と表現しているくらい相互理解のツールとしては大切なものと考えております。

 

韓国食文化の日本への影響に関する研究・韓日両国民の食嗜好の相違に関する研究 郡山女子大学・漢陽女子大学・漢陽女子専門大学(詳しい共同研究の先生方は、https://cir.nii.ac.jp/crid/1040282256570534272 こちらを参照ください)これら研究者の方々の論文を参考にご紹介していきます。

特に、食嗜好の相違については、日本食はしょっぱいという評価が多く寄せられている。そこで、的確に分析しているのが、韓日両国民の食嗜好の相違に関する研究である。これは、両国民が比較的多くを食する、塩辛の成分の相違や嗜好の感覚をもとに分析していることが大変親しみやすいポイントであったので参考文献として取り上げています。

 

以下、一部抜粋となります。

 

1.塩辛の呈味成分と食嗜好 韓国の塩辛は全羅北道で採集した。 (1)両国で日常的に食される塩辛の遊離アミノ酸は日本の塩辛1.5%、韓国の塩辛3.1%であった。また、遊離アミノ酸に占めるグルタミン酸の割合は日本塩辛50%、韓国塩辛29%であった。さらに、日本の塩辛の主体的アミノ酸はグルタミン酸、韓国の塩辛はグルタミン酸、ロイシン、アラニンであった。(2)両国で日常的に食される塩辛のオリゴペプチドは日本塩辛 約0.2%、韓国塩辛 約1%であった。また、何れの塩辛のオリゴペプチドも構成アミノ酸の主体はグルタミン酸、ロイシン、アラニンであった。グルタミン酸の多いことはこれらのペプチドの一部が旨味のあるグルタミン酸オリゴペプチドであることを示唆している。以上の結果から日本人はグルタミン酸の旨味を特に好むが韓国人はグルタミン酸の旨味の他にペプチドの味も好むと考えた。 2.醤油、味噌の呈味成分と食嗜好 韓国の醤油と味噌は江原道、京畿道、全羅北道、全羅南道などで採取した。 (1)日本の醤油は遊離アミノ酸が韓国の醤油の約4倍であった。また、何れもグルタミン酸が多かった。日本の醤油のオリゴペプチドは韓国の醤油の約1/3倍であった。(2)日本の味噌は遊離アミノ酸が韓国の味噌よりやや少なかった。主体的アミノ酸は日本の味噌がグルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、韓国の味噌はグルタミン酸、ロイシンであった。日本味噌のオリゴペプチドは韓国味噌の約70%であった。以上の呈味成分の差異は塩辛の場合とほぼ同様であった。したがって、醤油と味噌の分析結果からも、日本人はグルタミン酸の旨味を特に好むが韓国人はグルタミン酸の旨味の他にペプチドの味も好むと考えられる。 3.官能検査による食嗜好の比較 20〜50才代の両国人男女をパネラーとして順位法で、塩辛エキス、鰹節エキス、昆布エキス、グルタミン酸ナトリウムなどについて官能検査を行った。また、塩辛エキスなどを混合した味噌汁についても同様な検査を行った。その結果、日本人はグルタミン酸ナトリウム、鰹節エキスの順で嗜好度が高かったが、韓国人は塩辛エキス、グルタミン酸ナトリウムの順で嗜好度が高かった。これらの嗜好順位に年齢差はほとんどなかった。以上の結果、グルタミン酸ナトリウムは両国人に好まれる旨味であることが明らかになった。しかし、韓国人はグルタミン酸の旨味の他に塩辛の成分、特にペプチドの味も強く嗜好すると考えられる。本結果は上述した呈味成分の比較研究(1、2)で得られた予測を裏付ける結果である。 4.両国の餅の比較 餅は両国共通の供物であるが、米粉を蒸して作る韓国の餅は日本に伝承した後、菓子に変容したと考えられる。

 

 

端的に纏めると成分の違いは嗜好の傾向を表しており、塩辛い成分が多いと考えられるものを好むのがやはり、日本人であるとの仮定が、この塩辛の分析で仮説検証を裏付けることができるかと思慮します。

 

このように、単に、日本食はしょっぱいということで、嫌悪を抱く韓国人の反応はこのように成分の嗜好の相違で裏付けされたことと推察ができる。

つまりは、日本食=しょっぱいから口に合わないのは、これは両国民の平均的な嗜好の差であり、コメントだけでは、なかなか理解できないは致し方ないわけであろう。