日韓の国民が好む話題の調査について サイト運営で注意しているポイント

当サイトの運営上、韓国の人々がどのような話題に対して好んで参加するのか、または、嫌悪感を持っているのかを把握することが大切ではないかと漠然と考えておりました。しかし、いろいろと調べる中で、これらの調査研究を行って、学術論文として発表していることを知り、当サイトの運営で取り上げる投稿記事も、出来る限りそういった裏付けを持って話題を選定し、韓国の方の反応を紹介しております。

 

その学術論文を下の通りご紹介いたします。

TheJapanesejournalofLanguageinSocietyVol.8,No.1,September2005,pp.93−105

会話における話題の選択熊谷智子(国立国語研究所)石井恵理子(東京女子大学)

となります。こちらは特にインターネットを使いこなす若年層を中心に調査した結果でありますので、国民の総和を示すことには適していないと思いますが、あくまでの一つの定量データとしては大いに参考になる客観的なファクターとして位置づけられると推定しています。

 

以下、引用しております。データ結果については、お知りになりたい方は直接文献をあたってみてください。(↑)

会話においてどのような話題を進んで取り上げるか,また話題にしたくないと考えるかにっいて,日本人と韓国人にアンケート調査および面接調査を行った.アンケートの結果,趣味,余暇,スポーッ・テレビ番組といった話題は日韓で共通して好まれ,体のサイズ,宗教,収入などは日韓いずれでも望ましくない話題とされた。その他の話題では,日韓の違いや年齢層,性別による好みの相違が見られた.また,大学生対象の面接調査から,初対面の相手への話題選択のポイントとして,「話をもりあげる」「私的なことに踏み込まない」といった,ポジティブ・ポライトネスおよびネガティブ・ポライトネスに関わる点が日韓共通に認められた.一方,出身地や自宅の場所,宗教といった話題にっいては,日韓で意味づけにやや異なる面も観察された,

 

 

研究の目的近年,日本と韓国の間では,さまざまな分野を通して相互に関心が高まり,行き来や交流も盛んになっている.そうした状況において,ますます多くの日韓コミュニケーションが,個人レベルで行われる機会が増えている.コミュニケーションの仕方はさまざまな点からとらえることができるが,その一っに会話でどのような話題を取り上げるかということがある,どういった相手に何の話題を選ぶのが適切かという考え方は,文化や慣習によっても異なりうるが,そうした違いが,時には円滑なコミ=ニケーションを阻害することもある.本稿では,会話における話題の選択に焦点をあて,日本人と韓国人への意識調査の結果をもとに,日韓対照を試みる1).会話における話題についての先行研究では,三牧(1999)が日本人大学生にっいて,奥山(2004)が日本人と韓国人の大学生について,初対面の会話のデータに基づく話題選択スキーマ分析を行っている.また,任(1993)は,韓国人・在日韓国人・在米韓国人を対象に,親しい友達と話すときの話題,および初対面の相手について知りたい情報について,選択肢式調査を行っている.これらの研究では,会話で選ばれやすい話題についての知見が得られているが,選ばれなかった話題にっいては情報が得られていない.本研究では,様々な種類の話題について,その各々に対して日韓の話者がどのような意識を持っているかに着目した.本研究では,19項目の話題を設定し,日韓の回答者がそれらの各々にっいて,親疎・性別の異なる相手との会話で取り上げたいと思うかどうかを調査した.そして,日韓の大学生に対して行った面接調査のデータも参考にしながら,一見同じ話題と見えるものに対する日韓での意味づけの違い,話題選択における考え方,対人相互作用における指向性,ポライトネスのあり方などを考察する.

調査対象は下の通り。

 

結果の概要

日韓に見られた話題の意味づけの差異次に,対人相互作用上での意味合いに日韓で差異があると思われた話題にっいて述べる.〈出身地〉日韓いずれの大学生にとっても,出身地が同じあるいは近ければ有力な共通点の発見となり,仮に違っても互いの土地柄について話せるなど,初対面の相手との会話や関係を推進する話題ととらえられている.ただし,韓国ではそれと同時に,出身地という話題がいわゆる「地域感情」を意識させる側面もある.日本で言う「県民性」のような一般的イメージではなく,歴史や政治・経済的な地域間格差などを背景とした特定地域への偏見などが絡むため,相手との関係構築を阻害する危険性のある話題という意識も一方で見られる.こうした意識は,「相手の性格などの見当をっけられるので,出身地は尋ねる」「出身地を知ることで相手のイメージを先に固めたくないので聞かない」「自分の出身地域と仲が悪いとされる地域の人だったら気まずいので,聞かない」などの様々な反応として,コメントにあらわれていた.〈自宅の場所や住環境〉日本の大学生には,話のきっかけとして,また〈出身地〉と同様に発展性のある話題として,取り上げられるようであるが,韓国では居住地域が裕福かどうかの指標となるという考え方も少なからず見られた.そのため,自宅の場所を聞くことが,相手の経済状況をはかろうとしている,そしてそれによってプライバシーに立ち入ることになるという危険性が指摘されていた.その意味で,韓国人にとってこの話題は,時にく収入〉とほぼ同義であり,相手の評定にっながり得る〈進学・教育〉〈出身校・在籍校〉と同様,非常にデリケートなものとなる可能性がある.一方,日本(東京)の大学生には,今回の面接調査の範囲では,自宅の場所を相手の経済状況と結びっける発想は見られなかった.なお,この項目や上記の〈出身地〉の他,〈家族〉〈出身校・在籍校〉などの話題は,相手の社会背景や性格を知るために意識的に取り上げることがあると,韓国の男子学生6人がコメントしていた.〈宗教・信仰〉日韓いずれでも好ましくない話題とコメントされていたが,その理由にっいては共通点と相違点があるように思われた.相手から特定の宗教に熱心に勧誘されたりすると煩わしいし,それによって人間関係もこわれるという考え方は,日韓共通であった.一方,韓国では,この話題は異なる宗教の信者間での果てしない論争のもととなるという指摘もあった.この種のコメントは日本人大学生には見られず,概して宗教に関心の薄い日本人とは異なる点といえる.自身の関心の薄さの裏返しといえるかもしれないが,日本人大学生のコメントには,勧誘も含めて宗教を熱く語るのは,変な人,常軌を逸している,というとらえ方があらわれていた.そのため,この話題を避ける背景には,自分が「宗教に熱心」「変わった人物」という印象を与える

 

【サイト運営上で参考となるであろう話題について】

これらのアンケートデータの結果から、当サイトの運営で注目したいのは、日韓共通で好ましくない話題としては、宗教観、プライベート(家族や住居等)は比較的避けた投稿テーマとした方がいいのではないかと思慮しています。しかし、こういったある種のタブーの領域こそが本来の両国の友好深耕には恐れを避けずに踏み込むべきとの意見もあるのは承知しております。しかし、それ以前に、隣国でもありながら、まだまだ国民性を相互に理解できていない基本的な部分があるのではないか(これは、相互が好んで話題にしてもいいと考える領域)、まずはそこからスタートしていき、サイトの閲覧者が有効との評価を十分得てからでも遅くはないと考えている次第です。